高齢化社会が加速している日本では、今後も介護需要が増え続ける事が予想されます。その時に問題になるのが介護職員の人材不足です。社会的に需要が高い介護職員が、なぜ人手不足になるのでしょうか。まず、根本的な問題として「少子高齢化」があります。日本の出生率は低下を続けています。第一次ベビーブーム期の1947年から1949年の年間出征数は約270万人、第二次ベビーブーム期の1971年から1974年は約210万人でした。しかし、1984年には150万人を割り、それ以降も穏やかな減少傾向が続いています。介護職員として活躍する可能性があるのは労働力とみなされる、15歳から64歳の「生産年齢人口」にあたる人です。生産年齢人口は、1995年の69.5%を最後に減少し、2025年には58.7%まで下がると予想されています。若い人が減り働く人口そのものが減っているのが、介護職員の人手不足の原因のひとつといえるでしょう。
就職する人が少ないという問題に加えて、介護職員は他の職業に比べて「定着率が低い」という大きな問題があります。介護職員の離職率は16%前後と高く、中でも「介護福祉士」は就職後1年以内で30%、3年以内に実に80%の人が離職しています。全産業の勤続年数は平均で12年程度といわれていますが、介護施設で働く介護職員の勤続年数は平均7年、ホームヘルパーは5年と極端に短くなっています。そのため、一般の職業や職種に比べて介護職員はかなり離職率が高く、長続きしない職業だといえるでしょう。離職する人を減らし、長く働いてくれるように職場環境を整えないと介護職員の人材不足の問題は続いていきます。
なぜ離職率がこれほど高いのかといえば「待遇面の悪さ」が上げられます。介護業界を離れる人の多くが「給料の低さ」を理由にして、仕事を辞めてしまっています。全国の一般的な女性の事務職員の平均給与額が約293万円なのに対して、介護職員の中でも資格を持ち待遇が良いとされる介護福祉士の平均給与額は約250万円から高くても400万円に留まり、一般の介護職員の給料はそれよりもさらに低くなっています。それでいて、体の不自由な高齢者や要介護者の世話をするために大変な労力が必要になります。宿泊設備がある介護施設では夜勤もありますし、シフト制のため生活習慣が安定しない辛さがあります。また残業も多く、労働時間も全体的に長くなっています。さらに閉ざされた施設内ということで職員同士の人間関係に苦労しますし、わがままな高齢者を担当すると心労も絶えません。このようなことから「割に合わない」と感じて離職をする人がいても不思議ではありません。
職場に不満がある人は、職場環境を変えるために努力をするか、転職するかの2択で悩んでいるかもしれません。遠回りなようでも、転職をして新しい職場に移った方が理想的な環境を手に入れやすいでしょう。介護職員が転職をする時は、「介護職専門の転職サイト」を利用することをおすすめします。介護業界の内部情報に精通した専任のコンサルタントが、職場の人間関係が良く、希望の条件を満たした理想的な転職先を紹介してくれるかもしれません。
つづきへ介護職の人材不足を解消するために政府を中心に様々な取り組みをしています。まず、一度離職してしまった人材を呼び戻すための取り組みとして、再就職に必要な費用を貸し付けて再就職後に2年以上働いた場合は返済の義務がなくなる「再就職準備金貸付こと業」という制度があります。また、新しい人材を呼び込むための取り組みには、介護福祉士を取得するための学校の学費を貸出し、就職して5年以上勤務した場合は返済を免除する制度などもあります。
つづきへ介護業界の「職種別」の有効求人倍率をチェックしてみましょう。「介護職(ヘルパー以外)」の求人数が33,103件、応募者が7,029人、有効求人倍率が4.71倍です。また「ホームヘルパー」の求人数が6,500件、応募者が1,574人、有効求人倍率が4.13倍となっています。さらに「セラピスト」の有効求人倍率は6.86倍と、とても高い水準です。介護業界で就職を希望する人はほとんどの職種が「超」売り手市場ですので、就職しやすい状況にあるといえるでしょう。
つづきへ有効求人倍率が1倍以上は売り手市場といわれますが、その中でも介護職の有効求人倍率は2倍近い高水準です。今後も有効求人倍率が右肩上がりになることが予想されているため、介護職を目指す人にとって有利な状況が続きそうです。介護職の有効求人倍率を都道府県別にみると、平成27年の1位が栃木県の13.82倍、2位が愛知県の13.52倍と、とんでもない高水準になっています。このエリアの介護職希望者は、引く手あまたな状況で就活をすることができるでしょう。
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