介護業界が人手不足になっている理由として「退職者が多い」という点があります。有効求人倍率が高いだけでなく退職者が多い状況では、人手不足がさらにひどくなってしまうでしょう。なぜ退職者が多いのか、理由をみていきましょう。
退職理由1位は「職場の人間関係の不満」です。給料の低さや待遇の低さが大きな問題として取り上げられていますが、離職の引き金になっているのは人間関係の問題でした。人間関係の不満は退職理由の25%近くを占めているほど深刻な問題になっています。続いて退職理由2位が「法人や施設・事業所の理念や方針に対する不満」です。こちらも退職理由の23%を占める大きな問題になっています。
退職理由の1位が「職場の人間関係の不満」ですが、介護職員同士の人間関係がなぜ悪化しやすいかといえば、介護施設内の閉鎖された環境が大きな影響を与えているからです。介護施設内のスタッフや利用者の中には、当然ですが気が合わない人がいます。例えば総合病院のような大きな施設で働いていれば気の合わない人と顔を合わせなくて済む時間も多くなりますが、それほど大きくない介護施設内ではそうもいきません。苦手な人同士が夜勤で二人きりになることもあるでしょう。このような状況ではストレスを解消する時間が持てず、ストレスが溜まる一方になり人間関係もピリピリしてしまいがちです。また部署の移動が少ないため派閥が生まれやすい状況でもあります。派閥が生まれると、必ず対立構造が生まれますから険悪なムードになりやすいです。
職場の人間関係を改善するためには介護職員同士が「仲良くしよう」と思っても難しいものです。人事権を持った施設長やオーナーなど責任者が介入する必要があります。責任者がすべきことは、まず「介護職員の人間相関図」を頭に描けるようになることです。現状を把握していなければ、問題を解決する事はできないからです。次に派閥を解体するような人事を行う事が大切です。同じ派閥の人が顔を合わせにくいような部署に配置したり、シフトの工夫をします。ユニットやチームリーダーにはコミュニケーション能力の高い人材を選び、配置し直す必要もあるかもしれません。介護施設のような閉鎖した施設内で派閥をなくし、人間関係を良くするためには学校の「席替え」「クラス替え」のような方法で風通しを良くする方法を取る必要があります。
「法人や施設・事業所の理念や方針に対する不満」も退職する大きな理由のひとつです。介護職員の仕事は他の職業に比べて仕事がきつくて大変です。それでいて報酬も高いとはいえません。自分の努力に対して、施設の責任者が無関心だったり正当な評価がなされていないと感じると、報われない気持ちになってしまいがちです。
また人間関係の問題を放置して改善策を講じない責任者に対しても、強く絶望するでしょう。法人や施設・事業所の責任者が職員の事を良くみて、努力に対しては正当な評価をし、問題を解決する姿勢を見せる事が大切になります。
職場に不満がある人は、職場環境を変えるために努力をするか、転職するかの2択で悩んでいるかもしれません。遠回りなようでも、転職をして新しい職場に移った方が理想的な環境を手に入れやすいでしょう。介護職員が転職をする時は、「介護職専門の転職サイト」を利用することをおすすめします。介護業界の内部情報に精通した専任のコンサルタントが、職場の人間関係が良く、希望の条件を満たした理想的な転職先を紹介してくれるかもしれません。
つづきへ介護職の人材不足を解消するために政府を中心に様々な取り組みをしています。まず、一度離職してしまった人材を呼び戻すための取り組みとして、再就職に必要な費用を貸し付けて再就職後に2年以上働いた場合は返済の義務がなくなる「再就職準備金貸付こと業」という制度があります。また、新しい人材を呼び込むための取り組みには、介護福祉士を取得するための学校の学費を貸出し、就職して5年以上勤務した場合は返済を免除する制度などもあります。
つづきへ介護業界の「職種別」の有効求人倍率をチェックしてみましょう。「介護職(ヘルパー以外)」の求人数が33,103件、応募者が7,029人、有効求人倍率が4.71倍です。また「ホームヘルパー」の求人数が6,500件、応募者が1,574人、有効求人倍率が4.13倍となっています。さらに「セラピスト」の有効求人倍率は6.86倍と、とても高い水準です。介護業界で就職を希望する人はほとんどの職種が「超」売り手市場ですので、就職しやすい状況にあるといえるでしょう。
つづきへ有効求人倍率が1倍以上は売り手市場といわれますが、その中でも介護職の有効求人倍率は2倍近い高水準です。今後も有効求人倍率が右肩上がりになることが予想されているため、介護職を目指す人にとって有利な状況が続きそうです。介護職の有効求人倍率を都道府県別にみると、平成27年の1位が栃木県の13.82倍、2位が愛知県の13.52倍と、とんでもない高水準になっています。このエリアの介護職希望者は、引く手あまたな状況で就活をすることができるでしょう。
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